アベノミクスでは、日本経済は浮上しない

アベノミクスは、バブル崩壊後の需要減少からの脱却を図るため、ゼロ金利下で金利政策の有効性が疑問視されるなかで大胆な金融政策や機動的な財政政策を実施し、需要増加によるデフレ脱却を狙ったものである。それから6年が経過した今、日本経済の現状はコアコアインフレ率(生鮮食品とエネルギーを除く)が1%を超えており、失業率は3%前半と労働市場は回復、GDPギャップは―2%程度で深刻な不況とは言えない状況にある。しかしGDPの伸び率はアベノミクス以前と変わらない。深刻なのは潜在成長率が0.5%以下で特に内閣府推計は毎年下がり続けている中で今後も金融政策に依存するアベノミクス継続は有効なのか。

2%の物価上昇が実現できないのはアベノミクスが一時的な総需要刺激策にすぎないからで、企業は総需要の増加を一時的なモノとみなし資本増強より労働力の増加で対応しようとしたからで、非正規社員雇用比率の上昇をもたらした。アベノミクスが人口減などによる長期的な供給力(生産力)低下の中で短期的な総需要増加策にすぎないと看破した国民は将来の物価上昇を期待することはない。GDPが伸びない理由は企業の設備投資低迷による資本蓄積が減少したことにある。事実、生産資本ストックで見ると日本の民間設備資本は08年にピークアウトしており、それが潜在成長力低下の主たる理由である。
もし金融政策に依存するアベノミクス継続で2%の物価上昇が起きたとしても、過度の金融政策に依存する成長は、政府の過度の金利負担極小化が常態となり、人為的な経済成長は景気後退やデフレをもみ消し過度のリスクテイクによるインフレやバブル発生、金融機関の経営圧迫などの大きな犠牲を伴うだろう。日本の成長に真に必要なものは構造改革であるにもかかわらず、時間稼ぎにすぎないはずの金融政策を長引かせれば、それだけ本来解決すべき日本が抱える構造問題を長引かせ、課題を増幅するだろう。17年度第2四半期は速報では年率4%の経済成長が内閣府から発表されているが、潜在成長率が0.5%以下で労働分配率は円安の影響で下がり消費が伸びるのが不思議な状態。早晩、成長は天井に突き当たる。

潜在成長率の底上げのカギは成長戦略であるが、アベノミクス第3の矢は、結果の検証が十分行われないから効果のほどは定かでないにも拘らず次々と掲げる方針が変わるが、実施項目は10年1日のごく変わらない。政府は企業活性化の環境整備に徹すべきであり、成長戦略の本命は供給制約となっている規制の撤廃・緩和であるにもかかわらず、特定産業の振興などの過去をなぞった産業政策に力点が置かれている。原因は経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議、内閣官房直轄の1億総活躍の政策などにおける司令塔の並列、担当大臣間での競争で推進力が分散しているからではないか。
官僚の人事権を握り、党内一強となった安倍首相は、自分で方針を考え強力な指導力を発揮できる環境にある。「一億総活躍」「人つくり革命」など空虚なアドバルーンを掲げるのでなく中身が国民に理解できる具体的な方針を掲げないことには、日本経済の浮上はない。

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