国会議員の皆さん!日本の構造問題解決が第一

18日参院の消費増税法案審議では「増税で財政にゆとりができた分」を経済乗数効果の低い公共事業に回すという。日本の緊喫の課題は財政健全化ではないのか。「消費増税」の趣旨は膨れ上がる毎年の財政赤字の主犯人である社会保障費に消費税を充て区分経理しようという意味であり、財政にゆとりができれば財政赤字削減か成長戦略に回すのが筋だろう。成長戦略と財政健全化は連動するから成長戦略で税収をあげ、それを通して問題解決を図ることは可能だからだ。

目先のことしか考えない「議員個人の利益第一の政治」を継続するのであれば早晩、経常収支がさらに悪化して日本という国を支え切れなくなるだろう。日本は累積財政赤字がGDP比200%を超え、世界で突出している。加えて11年の経常黒字の減少率は過去最大で15年ぶりの低水準、貿易収支は45年ぶりの赤字。議員諸君は少子高齢化と人口減という日本の構造問題を真剣に考えるべきだ。

今日まで日本は経常収支黒字を背景にした国内カネ余りが国債消化を円滑にしているが、それは家計や企業の支出が伸びない景気低迷の裏返しであり景気低迷が継続するのは好ましくない。少子高齢化で家計の貯蓄が減り財政赤字が拡大すれば国全体のカネ余り状態が消える。
原発縮小によるエネルギー関連や円高と空洞化に起因する自動車・電子部品などの輸入が輸出以上に伸び、特に生産拠点の海外シフトは貿易赤字の拡大を所得収支で補うことを困難にする。恐らく10年台後半に経常収支が赤字化するだろう。経常赤字になるということは国債を国内で消化できなくなり海外資金に頼ることになる。海外の国債・地方債保有高は11年12月で6%だがフローベースでは短期証券を含む国債の増加高(10年度45兆円)の3割が海外引き受けだ。海外投資家の資金を日本に呼ぶには現在のような低金利での国債発行は困難になる。加えて日本は諸外国に比べて政府債務残高が飛びぬけて多い。国債金利の上昇で利払い負担が増大し、さらなる財政赤字の拡大をもたらす。
今までの多額の国債残が国債利払費による財政圧迫にならなかったのは国債発行が増えているにもかかわらず利払費が増加しなかったから。今後はこの国債利払い費が財政を圧迫する。
その根拠を数字で示そう。利払費は85年から00年まで年10~11兆円の横ばい。しかし国債残高は3倍の368兆円になった。利払費は05,06年が7兆円、2010年度は8兆円弱で、国債残高は636兆円に急増している。このような急激な国債増発でも財政破たんしなかった理由は①市場金利の低下。(ちなみに85年は7.2%だった)②最近は金利水準が低い短期借款債の発行が多いため過去の高金利時発行国債の償還に際し「借り換え金利ボーナス」の恩恵を受けていること。だが今後は借款債発行での金利低下の恩恵は期待できない。日本の発行残の多いのは10年債。財務省公表の利払費の見通しでは2013年以降のGDP伸び率を成長率1%(低成長の場合)、10年債の金利2%で計算した場合19年度利払費見通しは19兆8千億円。金利1%と計算しても16兆円。国債利払費は過去25年と比べて倍の負担になる。
国債による資金調達では日本は超・超長期債の割合が先進国の中では低い。従って足元の利払費は抑えることができたとしても、日本は短・中期債による調達割合が高いから財政は金利変動の影響を受けやすく、金利変動リスクに極端に弱いと言える。ちなみに欧州は長期債が多く、先行きの金利変動リスクの抑制が効くところが日本とのちがいだ。日本はひとたび危機が表面化すればギリシャ、スペインよりもっとひどい緊縮策を強いられる可能性が強い。

経常赤字と金利上昇リスクに備えるには早期の財政収支改善が必要だが、裏返せば日本がこのリスクから逃れるには国民はいつまでたってもデフレ下の耐乏生活から抜け出せないということ。金利を上げれば国債利払費のためたちまち国が破産するからで、国内経済の成長の足かせになる。GDP比200%を超え、世界で突出している累積財政赤字を急速に改善するのは至難の業だ。では日本は今後どういう道をたどるのか。

第一の道は世界の金融市場の餌食にならないように国内貯蓄率を高止まりさせカネ余り状況を継続して国債の消化を可能にする道。
家計では将来不安による消費抑制で現役世代の貯蓄増しが高齢者の取り崩しの影響を上回るケース。企業は市場縮小により国内投資を抑制する。実際、今でも足元の設備投資は減価償却の範囲内だ。消費や設備投資が抑制され内需低迷で輸入が減り貿易収支の赤字拡大が進まず所得収支の黒字で経常収支黒字が維持されるだろう。ただし条件は政府の政策で「財政政策のルールとして政府予算においてその年の景気安定を考慮しないこと」「税率をきめるときも景気安定は考慮せず、歳出をカバーする歳入確保だけを考え数字的に均衡財政を保つ」ことを堅持する。手短にいえば農家への所得保障、生活保護や高齢者医療への過大な給付などばらまきをやめること。しかし結果は低成長が持続してデフレが継続し税収が増えないから財政赤字拡大が継続し、政府債務残高が積み上がる。

第二の道は成長戦略で経常収支の赤黒に対応できる経済構造を作ること。
成長率が高まり内需が活性化されればカネ余り状況は解消する。経済状況次第で経常収支は赤字にも黒字にもなる。経常収支が赤字であっても日本の成長に対する期待が高まり財政への信認が高まれば海外資金を引き付け国債の円滑な消費が可能になる。財政への信任が欠けた状態での経常赤字は長期金利上昇となり日本は破滅への道を進む。日本の潜在成長力は1980年代に4%以上だったのが現在は1%未満。政府の規制緩和による民間部門の活性化やTPP、自由貿易推進などで成長率を引き上げることが前提である。問われるのは総合的な成長戦略。現在は所得収支黒字も直接投資より債券投資からの収益が多い。収益性の高い直接投資を増やす必要がある。経常赤字転落への備えもいる。法人減税や自由貿易推進による海外資金の呼び込み、国債保有の海外資金増加に備えた政府の財政再建、社会保障と税の一体改革を確実に実行する施策が前提になる。

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