「一体改革」成功のカギは低金利維持と円高是正だ!

社会保障と税の一体改革がとにかく成立して、GDPの2倍を超える「財政赤字削減」と「持続可能な社会保障」へのスタートがやっと切れた。増税は少子高齢化という日本の構造問題を解決し経済を再生する取掛かりにすぎない。直近の目標は国際公約した「基礎的財政収支赤字を15年に半減、20年に黒字化」を達成することである。
ところで早くも「このままでは2回目の10%への増税は難しい」という声が早くもちらほら聞こえる。今回増税は以前の消費税導入時などと異なり見返りの減税措置がないから税の負担増しがもろに個人消費や企業投資に影響するから経済が停滞するという理由だ。増税の重みで経済が腰折れするようならば予定通りの税収が得られず財政再建ができないということになる。政府の「再生戦略」も期待できないと仮定して海外市場も先が見えない中で、どういう処方箋があるのだろう。

欧州経済危機の例をみるまでもなく財政赤字で市場の信認を失えば年金の大幅削減や大増税で国民の暮らしが大きく落ち込む。イタリアなどは歳出削減で財政再建策を進めているにも拘らず市場の信認は戻らない。一度失った市場の信認はちょっとやそっとでは取り返せないのが現実の世界である。
一体改革で与野党調整が難航した8日、新発10年物国債利回りは0.08%を超え今年最大の上げ幅を記録した。これは我が国の財政再建路線の緩みが金利急騰を促すリスクを浮き彫りにしたものである。もし我が国が財政再建を先延ばしすれば国債市場で利回りが上昇するという市場からの警告だ。そうなれば多くの日本国債を保有する我が国の銀行は市場金利上昇で逆鞘となる。銀行は損失回避のため国債売却に走るから、さらに利回りが上昇する。1000兆円を超える借金を抱える我が国政府は金利支払いのため財政事情がさらに悪化する。日本の財政悪化が止まらないと国債の信認低下が現実のものとなり財政破たんの危機に瀕する。つまり、日本も債券相場の急落で国債を大量に持つ銀行財務が痛み、金融システム危機と国家財政危機が同時に発生する可能が大いにあるということだ。従って、国債が国内で消費されているから安心ということにはならないのである。
考えてみれば株の配当利回りが2%台、0.8%前後の10年もの国債を上回る。今のこの現象は異常だ。日本経済は当面デフレが継続すると市場がみているから日本国債は低金利なのだ。ひとたび流れが変われば動きは早い。日本の金融経済政策の余地は低金利を保ちながら経済成長を図ることしかなくなった。海外市場は常にギリシャ、スペインに次ぐ獲物を探している。敵(市場の投機筋)は待ってくれない。財政再建のスピードがこれからの勝負を決める。従って10%の再増税は是が非でも実行すべきで、増税延期や中止をしてはならない。

経済成長を狙って国家戦略会議がまとめた再生戦略では、農林水産、医療・介護、環境・エネルギーなどを重点分野をするという。エネルギーを除けば、これらは内需関連の労働集約型サービス産業であり、関連産業への波及効果や労働効率が製造業に劣る上に一定の規模に成長するまでに時間がかかる。日本の産業構造の改革を狙っているとすれば失敗のリスクも考え無駄カネは一滴とも使わない方法、即ち規制改革を軸にして行わざるをえないが、政府は其の決断ができるだろうか。
過去の経済成長率に対する内外需の寄与度でみれば外需の貢献度が大きい。確かに足元の日本経済は内需が引っ張っているが、震災からの復興需要やエコカー補助金などの政策経費で消費を押し上げているからで、来年以降は大きな期待はできない。別の言い方をすれば資源に乏しい日本はそれが貿易収支であれ所得収支であれ外需で稼ぐしかないということである。従って今回増税に対応する日本経済成長のカギは外需にあり、「産業競争力強化」が官民の課題となる。

日本の産業競争力強化の大きな阻害要因は近年の我が国知識生産部門の生産性低下と産業の空洞化であり、産業の空洞化を加速するのが円高だ。直近の日本製造業の円高対策をみると製品輸出メーカーが円高の影響を相殺するため海外部品の調達比率を引き上げている。特に中国からの輸入が急増している。このように中国に生産が集積してきている状況では、人材や技術、ノウハウも中国に集積されるから現地製部品の質が向上している。韓国も経済連携協定などで部品製造を輸出産業として育成している。製品国内販売は今後も減少するなかで国内生産数を保つには一定の規模が必要であるから輸出を継続しなければならない。今の円高水準では輸出採算は厳しくコストの安い海外部品は不可欠。製品輸出メーカ-は円高のために国内からの部品調達を絞らざるをえない。技術は生き物だから使わなければ国内の技術力は確実に低下する。先端技術は生産が集積するところで発展するから、日本にとって虎の子の国内部品産業は世界の先端技術開発から取り残され製品輸出メーカーもやがてはコスト競争力で負けて、全体として日本の輸出競争力が落ちる。

国際経済学の基本たるマンデル・フレミングモデルでは「財政引き締め・金融緩和」は自国通貨安と整合的だという。ただ日本の場合は財政を引き締めれば国債価格が暴落する。政府の打つ手は民間資金に余裕があるうちに円高に対応できる付加価値のたかい技術力を国内に残せるように資金の最適配分の流れを作り資金循環の円滑化を図ることだ。日銀も歩調を合わせ金融緩和で円高圧力を和らげること。その際、企業の海外進出に関しては企業が利益を出す環境作りと国内に残る産業の育成を目標に企業の採算ラインを念頭に置いた円高対策を練るべきである。

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